(コント)野球観戦


ーとある球場にて

山形:なかなか試合動かねえなぁ。

福井:うん。6回終わって0ー0だもんな。

山形:今日はシャクレーズもアゴンズもピッチャーがいいからねぇ。

福井:いや〜シャクレーズの不動のエース・猪木投手の剛速球はさえてるね〜。

山形:それならアゴンズの若手・アゴ倉もひけをとってねえよ。

福井:まぁでも俺は勝ってさえくれれば良いと思ってるから。

山形:そりゃそうだ。俺だってそうだよ。

福井:よし。シャクレーズガンバレ!

山形:頼む。アゴンズ勝ってくれ…!

福井:ふぅ〜…ちょっと尿意を催してきた…。
   今ちょうどグラウンド整備入ってるからこの間にトイレ行ってくるわ。

山形:そう。いってらっしゃい。

福井:(タッタッタッタッタッタッ…)

山形:・・・・・でも何であいつの応援道具はちくわなんだ?
   普通メガホンだろ。応援道具がちくわて!
   さっきから隣でぺニャぺニャうるせえんだよな。

福井:(…タッタッタッタッタッタッ)

山形:ほんで戻ってくるの早いな!

福井:トイレが空いてたんだよ。

山形:あっそ。男子トイレってのは大体空いてるもんなんだよ。

福井:あぁ〜すっきりした。

山形:ところで1つだけ聴いていい?

福井:何?

山形:別に応援チームが別々だからツッコまなくてもいい事なんだけどさ…。

福井:あぁ。やっぱり気になる?

山形:はい。とても気になります。

福井:いやぁ…これは生まれつき長いからどうしようも無いんだk…

山形:そこ違う!てめえのしゃくれきったアゴのお話じゃねえよ。

福井:違った?

山形:そのちくわだよ、ちくわ!試合開始から気になりっ放しなんだよ!

福井:・・・え?これ?

山形:それだよそれ!

福井:お前さんよ、これはちくわじゃねえぞ。

山形:いやちくわだろ?どっからどう見たって。

福井:かもめちくわだよ。

山形:ちくわじゃねえかよ!種類どうのこうのの問題じゃねえんだよ!

福井:しょうがねえだろ。メガホンを買うお金が無かったんだからよ。

山形:じゃあなんで一番高いS席のチケット買ったんだよ。

福井:粉末だよ、粉末。

山形:それを言うなら「ふんぱつ」だろ!チケット買った理由が粉類ってどういう事だよ。

福井:大粉末だ、大粉末。

山形:だから「大ふんぱつ」だろ!大きい粉状のものって意味わかんねえだろ。

福井:オブラートの代わりにチケットに包んで粉末の薬を飲むんでしょうが。

山形:チケット飲むバカが何処にいんだよ。んでなくしたら客席の出入りに困るだろうが。

福井:とにかくS席見やすそうだったしさ。

山形:まぁバックネットの真裏だから見やすいわな。

福井:あとTVに写れる率が高いやん。

山形:お前は目立ちたがり屋の小学生か!どうでもいいだろそんなの。

福井:やっぱ写っときたいじゃない。

山形:バックネット裏でちくわ振り回しながら応援してるヤツ写ってたら嫌だろが!

福井:ちくわで応援?そこまでアホな奴この世にいねえって。

山形:実際いるんだよここに。

福井:…もしかして俺?

山形:もちろん。

福井:俺は違うよ。

山形:何が違うんだよ。

福井:さっきも言ったろ?俺はちくわじゃなくてかもめちくわだって。

山形:だから種類はどうでもいいっつーの!ちくわに違いないんだから。

福井:はいはい。

山形:また随分とあっさりした返ししやがって。

福井:ところで俺、ちくわ術が使えるんだ。

山形:・・・えっ?何よ突然?

福井:ちくわ術が使えるんだ。

山形:ちくわ術?!その腹話術みたいな響きのはなんだよ。

福井:お前ちくわ術知らねえの?

山形:そんな奇妙なの初耳だよ。

福井:そうか。じゃああの偉大なるちくわ術の神、ぶっこく堂さんを知らないと?

山形:ぶっこく堂?「腹話術のいっこく堂」ならぬ「ちくわ術のぶっこく堂」?

福井:そう。彼の愛用するちくわはまさにこのかもめちくわ。

山形:へぇ〜。だけどちょっと待って。

福井:ん?

山形:さっきお前、ちくわとかもめちくわは別物って散々言ってたよね?

福井:ははっ。何を言ってるんだ。ちくわはちくわだろ。バカだなぁ。

山形:あぁ〜…もの凄く素でムカつくね。で?結局ちくわ術って何なワケよ。

福井:ちくわ術ってのを使うと、必ず思った通りに事を運べるようになるのさ。

山形:えっ・・・それホントかよ?ホントだったらすげぇぞ。

福井:ホントに決まってんだろ。

山形:お前今までに使った事あんの?

福井:1回だけな。

山形:その時はどんな感じ、どんな感じ?

福井:えーと、その時は確かどうしても夕食でホイコーローを食べたかったんだけどさ。

山形:また微妙な。ホイコーローて。

福井:ちくわ術を唱えたら、サイコーローが出てきたんだよ。

山形:ちょっと違うじゃん!サイコロって食えないし!

福井:いやぁ、やっぱり凄いぜちくわ術。

山形:使い物にならない度120%オーバーじゃねえか。

福井:あっ。そうこうしてる間に9回表のアゴンズの攻撃だ。

山形:展開早いな!パワプロの高速試合かよ!

福井:じゃあそろそろちくわ術を唱えるとするか。

山形:勝手に唱えてろ。

福井:「ちくわを食べて〜こんちくわっ♪」

山形:・・・。

福井:よし。ちくわ術完了。

山形:・・・いや何だよ、今のは!

福井:ちくわ術だよ。

山形:そのへんてこりんなおまじないがちくわ術?

福井:そう。ちくわを手に持ちながらこれを言うだけでいいの。

山形:こういうヤツを相手にしたくないヤツって言うのか…。

福井:若干だけど周りのお客さんからの視線が気になるね。

山形:周りだけじゃなくてたぶんTVの前のお客さんからも見られてんだよ!バックネットの真裏なんだから。

福井:あぁそっか。一躍人気者だね。

山形:嫌な形で人気者になってしまった…。

福井:ちょっと今考えたんだけどさ。もし選手全員がバットじゃなくてちくわを持って試合に臨んだらどうなると思う?

山形:試合にならない。

福井:もちろんグローブも全てちくわで。

山形:どうやって使うんだよ!

福井:そしてピッチャーが投げるのもちくわ。

山形:ちくわでちくわを打って、ちくわに捕られてってどういう状況だよ!

福井:ピッチャーはちくわの中に長さの違うキュウリを入れて変化球にするの。

山形:どんな曲げ方だよ!もはや変化球じゃなくて変化棒だ、変化棒。

福井:ってなワケで男性の股関節に付着してるものもちくわという事になるね。

山形:それだけは断固拒否させてもらっていいかな?

福井:あ〜今日も夜のちくわがしなる、しなる。

山形:リアリティーがありすぎだって、その表現。

福井:まさにちくわだらけで夢のような世界だね。

山形:どんな世界を夢に描いてんだよ、てめえは。

福井:指にちくわをハメる遊びが流行るんだろうなぁ…。

山形:将来子供が出来たらそんなのハメてるのにだけは絶対育てたくないね。

福井:カラオケではちくわがマイク代わりに…。

山形:やだ。声が下に抜ける。

福井:もちろん学生時代の部活動は「ちくわ部」。

山形:それ、なんか同じ名前の違う物想像しちゃうって!竹輪麩のイメージしか出てこないって!

福井:オリンピックの聖火とかも全部ちくわになるね。

山形:ちょっと見たいけどさ!ちくわ持ちながら走ってる選手自身が苦笑いだろ。

福井:開会式ではそのちくわを選手1人1人に向かって全力投球!

山形:どんだけ時間がかさむんだよ!投げるヤツとか無駄に肩壊すかもしんねえし。

福井:やっぱちくわの楽園は素晴らしいね。

山形:もう知らん。










(試合終了でございます。本日の試合はアゴンズが6−0で勝ちました。勝利投手…)

山形:よっしゃ〜完封だ!さすがアゴ倉ナイスピッチ!

福井:くっそ〜負けたか〜。

山形:でも9回表ツーアウトから連打連打で6点って。

福井:最後の最後で踏ん張れなかったな〜。

山形:お前がちくわ術唱えてからツーアウトまでは良かったんだけど、最後ダメだったな。

福井:う〜ん…。

山形:これで「思った通りに事を運べる」っていうのも崩れたね。

福井:でも俺はどうしてこうなったかわかるけどね。

山形:え?何でだよ。

福井:9回ツーアウト取った後に俺があのちくわ食べちゃったからね。

山形:・・・・・。


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